関節リウマチは、関節の痛みを伴い、長い経過をたどる病気です。20~40代の人がかかることが多く、日本全体で60~70万人のリウマチ患者がいると考えられています。全身の関節で痛みと炎症が起こり、進行すると患部が変形してしまう厄介な病気です。
西洋の治療は、NSAIDs、ステロイド剤、DMARDs(病患修飾性リウマチ薬)、生物学製剤などで治療が行われています。多くの患者さんが治療より病状の進行を止め、症状の改善が認める一方、ステロイド剤、抗リウマチ剤などの副作用が問題となります。中医(漢方)の治療は、ステロイド剤、免疫抑制剤などと併用して、治療効果をあげる場合と、単独で使用し、効果をあげる場合があります。また一定期間の中医治療を行うと、多くの症例がステロイド剤、免疫抑制剤の減量が可能になります。
リウマチにみられる関節の痛みや腫れのことを中医学では痹証(ひしょう)と言います。古い医書<皇帝内経>の中に「风寒湿三気雑至合而為痹也」との記述があり、痹証は外からのかぜ・寒邪・湿邪が体に侵入し、体に悪影響を及ぼして発症に至ったと考えられます。西洋医学の免疫抑制剤、ステロイドホルモン、抗リウマチ剤などが一切無かった時代に、リウマチに対して、各々の自覚、他覚症状に対する漢方薬を使いこなしてきました。
血沈の悪化やCRP強陽性などの検査結果と、関節痛などの自覚症状が強い場合です。中医の弁証で主に実証に属します。熱毒が強いとき、宣痺湯などを使用します。防已、杏仁、滑石、連翘、薏仁、牛膝などを中心にして、湿熱が強い場合、知母、黄柏を、下肢痛が強い場合、独活、牛膝を、皮下結節の場合 貝母、土茯苓を、気虚があれば黄耆、茯苓などを、熱毒が強い場合、忍冬、牡丹皮などを加味します。
症状が落ち着いてきた場合の治療です。この時期は、中医学は肝腎を補いしながら瘀血と痰湿などを除くことを治療の原則とします。冷えや痛み、関節の変形などが残存している場合は独活寄生湯(どっかつきせいとう)などを使います。独活、桑寄生 秦艽、防風、杜仲、党参、茯苓、炙甘草、当帰、熟地などを中心にして、腎虚が強ければ補骨脂、仙霊脾などを、冷えが著しければ肉桂、干姜などを、関節変形には地竜、白僵蚕などを加味します。
※中医学弁証により方剤や生薬の構成が変わる場合があります。